家に出た毒ムカデの種類と見分け方をイラスト図鑑で紹介

こんにちは、プロープル広報のkikuです。

家に入ってきて怖い虫!代表の『ムカデ』

しかも毒があって、噛みついたり刺されたりと恐怖でしかないですよね。

そんな毒のあるムカデについて、なんとなく知識を身につけて見分けられるようになると、少しは安心できるかもしれません……

今日のテーマは、イラスト図鑑でかんたん解説!「関東の家に出た!毒があるムカデの種類と見分け方」

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家に出た!毒があるムカデとは

家に出たムカデの殆どはトビズムカデという毒ムカデです。

家に出たムカデで噛まれる(咬まれる)被害で一番多いムカデの種類は何でしょうか?

答え:トビズムカデ

ムカデによる被害の多くはこのトビズムカデで、このムカデは毒性が強く、ムカデの中でも大型で活発に動き回ります。

暖かい時期になるとさらに活動が活発になり、時には餌であるゴキブリやクモなどの虫を求めて家の中に侵入してくることもあります。

それでは、トビズムカデやその他の「家に出る!毒があるムカデ」をイラスト画像で紹介しましょう。


毒があるムカデ「トビズムカデ」とは

家に出た毒があるムカデ、トビズムカデとは?

トビズムカデ【有毒:刺咬】

  • 毒性
    • 毒性が強く、小型のネズミなども死におとしめるほどの毒性があり、咬まれると激しい痛みで、その後にアレルギー反応により炎症する。
  • 体長
    • 7〜15cm
  • 体の色
    • 頭部は鳶色(とびいろ、赤褐色*1)で、これが名前の由来で“鳶頭(トビズ)”とされています。胴体は暗褐色(暗い黄赤色)で、脚と触覚は黄色(中には赤みがかる個体もいます)
  • 特徴
    • 複数の単眼がある(視力は良くなく、暗いとよく見えない)
    • オオムカデ属の中でも大型
  • 分布
    • 北海道南部から南西諸島まで幅広く見られます。
  • 生息場所
    • 森林や郊外に多く、人家に侵入することも多いため、もっとも咬まれる被害が多いムカデです。

トビズムカデに咬まれた場合の症状

  • 咬まれた(刺された)箇所が激しい痛みと熱を持ち、翌日以降に遅延性アレルギー反応によりさらに腫れるケースも見られる。
  • 個人差はあるものの、即時反応によりアナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応)として、呼吸困難や蕁麻疹(じんましん)が現れることがあります。
  • 合併症としてリンパ管炎を生じることがあり、咬まれる箇所として手が多いため、脇の下のリンパ管に沿って線状の紅斑が現れ、腫れることがあります。

暖かい時期や雨が多い梅雨の時期などには、特に家の中に侵入することが多く、夜行性であるため、就寝中に手足を咬まれる被害が多く見受けられます。

また、積極的に人を襲いませんが、庭作業中に誤って触れると毒牙で咬まれることがあるため注意が必要です。廃材や落ち葉の下に潜んでいることもあるので、清掃時は十分にご注意ください。

(*1)幼体のときは、頭部の色が(鳶色)以外や胴体と同系色の場合があり、個体差によっては赤みを感じないこともあります。


毒があるムカデ「アオズムカデ」とは

家に出た毒があるムカデのアオズムカデとは?

アオズムカデ【有毒:刺咬】

  • 毒性
    • 強い毒性で、トビズムカデと同じ(オオムカデ目オオムカデ科オオムカデ属)オオムカデの亜種*2、咬まれると激痛、トビズムカデと同様にアレルギー反応により炎症を引き起こす。
  • 体長
    • 5〜11cm
  • 体の色
    • 青みがかった頭部が特徴で、名前の由来となる青頭(アオズ)と呼ばれています。胴体も同様に暗青色(あんせいしょく:暗い青色)で、脚と触覚は青みを含んだ赤みを帯びていますが、黄色系など地域によって異なる傾向があり、また、頭部が赤みがかった個体も存在します。
  • 特徴
    • 複数の単眼がある(視力は良くなく、暗いとよく見えない)
    • 大型のトビズムカデと比較すると一回り小さい。
  • 分布
    • 本州から沖縄諸島まで。
  • 生息場所
    • 草地や森林、公園、郊外にも多く、トビズムカデほど活発ではなく、人家周辺でも石や倒木の下に隠れている。

アオズムカデに咬まれた場合の症状

  • 咬まれた牙の跡からは2箇所の出血が見られ、数時間ほど激しい痛みが続きます。その後、遅延性のアレルギー反応によって痛みがさらに強くなり、腫れるケースもあります。
  • 稀に、咬まれてすぐに呼吸困難や蕁麻疹(じんましん)、気分不良などの即時反応によってアナフィラキシーショックが現れることがあります。
  • 個人差はあるものの、リンパ腺が強く痛む場合があります。また、咬まれた箇所が二次感染により強い痛みを伴い、患部が大きく腫れることもあるため、早めの医療機関の受診が推奨されます。

(*2)亜種とは、同じ種類の動物や植物の中で、体の大きさや毛・羽の色、食べ物などが異なるものを指します。同じ遺伝子を持っていますが、住んでいる地域の気候や環境によって体や行動に特徴が現れるために起こる違いです。このように、同じ「種」の中でさらに細かく分けたものが「亜種」と呼ばれます。


毒があるムカデ「セスジアカムカデ」とは

家に出た毒があるセスジアカムカデとは何でしょうか?

セスジアカムカデ【有毒:刺咬】

  • 毒性
    • 毒も弱く、他のムカデと比べて咬まれた(刺された)時の痛みは少ない。
  • 体長
    • 5〜6cm
  • 体の色
    • 頭は赤色、胴体は赤橙色(赤っぽいオレンジ)、脚と触覚は黄色
  • 特徴
    • 第5背板、または第6背板から第20背板まで2本の縦筋がある。
    • 眼がない(眼の痕跡もない)
  • 分布
    • 北海道南部から南西諸島まで幅広く見られます。
  • 生息場所
    • 森の中や、家の近くの落ち葉の下にもいます。

セスジアカムカデに咬まれた場合の症状

  • 刺された時は、他のムカデほど強い痛みはありませんが、ジンジンとした感覚が残る。
  • 人によっては腫れることもあります。

アカムカデ科のアカムカデについて、
アカムカデ科のアカムカデもまれに屋内に侵入することがありますが、セスジアカムカデと見た目が非常に似ています。背中にスジがないかどうかで見分けることができ、それ以外の特徴はほとんど同じです。


毒があるムカデの見分け方

色鮮やかな毒ムカデの脚

どれも同じに見えるムカデですが、毒ムカデを見分ける方法はあるのでしょうか。

見分け方:見た目が色彩鮮やか

個体差により違いはありますが、頭の色は赤や青黒く、脚や触覚は青みや赤み、黄色など鮮やかで、胴体は暗褐色とコントラストが強く、全体的に警戒色が際立っています。

この色彩は、毒があることを捕食者である鳥などに警告していると考えられます。

また、ムカデの毒牙は口器に分類されていますが、実際の歯はその奥にあります。この毒牙は『顎肢(がくし)』と呼ばれ、足(脚)が変形したものです。

さらに、毒牙の先端には毒腺があり、咬まれると物理的な刺激に加えて、毒の影響で激しい痛みやアレルギー反応による腫れや赤みが生じます。

関東地方で人に害を及ぼす毒ムカデは以上の三種類となります。中でも、家での被害が多いトビズムカデには特に注意が必要です。

この三種類を覚えておくことで、毒牙による被害を回避しやすくなります。色などを見て『怪しい』と感じたら、決して触らないようにしましょう。


よくある質問

ムカデが家に一匹いたら何匹もいますか?
家にムカデが出ると、つがいで2匹いると聞いたことはありませんか? 実は、夫婦ではなく子どもと2匹で行動していることが多いのです。また、ムカデは餌を求めて家の中に侵入してくるため、湿った環境の軒下や庭に巣がある可能性も考えられます。もし1匹見つけて撃退したら、もう1匹いると思って対処するのが良いでしょう。
毒のあるムカデの種類を見分ける方法はあるの?/dt>
一般的に、毒のあるムカデは鮮やかな体色を持ちます。赤や青、黄色など色彩が豊かで、サイズも5〜15cmと中型から大型です。また、家屋に侵入する毒のあるムカデの大半は『トビズムカデ』で、個体差はあるものの、頭が赤褐色、胴体が暗い黄赤色、足と触覚は黄色系が多く見られます。
ムカデに刺されたら次の日はどうなるの?
初めて刺された(咬まれた)場合、遅延性のアレルギー反応で翌日以降にさらに赤く腫れることがあります。ムカデによる腫れは傷そのものよりも毒の反応によるもので、特に過去にハチなどに刺された経験がある場合、ハチの毒に似たヒスタミン物質などによる交差反応でアナフィラキシーショックの危険もあるため、早めの受診をおすすめします。

まとめ

  • 家の中に最も侵入するのはトビズムカデで、そのため咬まれる被害も多くなっています。
  • ビズムカデは頭が鳶色(とびいろ:暗い赤黄色)で胴体は暗い黄赤色、足と触覚は黄色系が多くを占める
  • アオズムカデはその名の通り、全体的に青みがかっていて、頭と胴体が同系色の傾向が強い
  • セスジアカムカデは、アカムカデと見分ける際に、第5(または第6)背板から第20背板まで2本の縦筋があるのが特徴です。
  • 毒を持っているムカデは鮮やかな色をしています。おもちゃのような不思議な配色でいかにも毒がありそうな感じがしこれを警戒色といいます。

正しい知識で、適切に怖がり、しっかりと対策をしましょう。


夜行性のムカデは、就寝中に被害に遭うことも多く、毒のある種類に咬まれると激しい痛みを伴います。もし室内で見かけて退治できなければ、安心して眠れませんよね。

見た目も不快で毒性もあるため、無理をせず、困ったときは弊社を含む専門家にご相談ください。

<参考文献>:田中源吾, 節足動物の眼の機能形態学( 群馬県立自然史博物館研究報告), 2013, 第17号, p. 25-48, TANAKA, G.: Functional morphology of the arthropod eye -towards the reconstruction of the visual world of ancient animals-. p. 24-48.
https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/bulletin17_5.pdf

<参考文献>:田辺 力、多足類読本: ムカデとヤスデの生物学、東海大学、2001、p.178、