コウモリ対策は軒下にある!屋根裏と通気口に住み着く理由を解説

こんにちは、プロープル広報のkikuです。

「なぜ?コウモリが家の中に……」

コウモリといえば洞窟や山の中を想像しますが、実は住宅の屋根裏や壁の中に住み着くアブラコウモリ(イエコウモリ)が各地で目撃されています。

なかでも軒下(のきした)まわりのすき間は、外敵が入りにくく昼間は静かに休めるため、「ねぐら」として最適な場所。そこから屋根裏や通気口、壁内に侵入し、糞尿やダニ、カビ、菌によって、家の中がどんどん汚れてしまいます。

一度住み着くと、ねぐらとして定着し、出入りを繰り返すため、放置すれば被害は拡大するばかりです。

そこで今回のテーマは、【コウモリの対策は軒下にあった!】侵入経路と住み着く理由、コウモリ対策について解説します。

軒下のコウモリ問題の相談窓口

なぜコウモリ対策は軒下にあるのか?

コウモリの対策は軒下にある理由とは?

なぜ、コウモリの対策は軒下(のきした)なのでしょうか?

結論:実は、コウモリが家に侵入する入口の多くは、「軒下」にあります。

この軒下とは、屋根と外壁の間にできる構造的なすき間(いわゆるパラペット部)や、建物の通気構造の開口部などを指します。

とくに家に住み着くアブラコウモリ(イエコウモリ)は、体長が約4〜6cmと小さく、1cm前後のすき間があれば自由に出入りできるため、屋根裏をねぐらにすることが多く報告されています。

軒下周りのすき間から侵入するコウモリ

したがって、最も効果的なコウモリ対策は「軒下まわりのすき間を封鎖すること」です。

まずは軒下に集中して、すき間の確認・物理的封鎖・再侵入防止の構造改善を行うことが、コウモリ対策の基本であり、最も確実な方法です。

なお、雨戸の戸袋や屋根瓦のすき間、通気口などからの侵入も確認されていますが、これらの場所も構造的には軒下と連続しており、まとめての対策が必要です。

そのため、コウモリの対策では「まず軒下を徹底的に点検・処理すること」が重要な第一歩になります。

屋根裏に侵入するアブラコウモリ(イエコウモリ)とは?

屋根裏に住み着くコウモリの多くは、アブラコウモリ(別名:イエコウモリ)という体長約4〜6cmで、翼を広げても20cmほどの非常に小型のコウモリです。

日本全国に分布しており、人家(じんか:人の住む家)をねぐらに選びやすい性質があります。夜行性で、日没後に一斉に飛び立ち、明け方に戻るという行動パターンが特徴です。

とくに6〜7月の繁殖期には、メスが2〜3頭の子を産み、屋根裏などに長くとどまって子育てを行います。

この時期は、ねぐらへの出入りが頻繁になり、軒下や外壁まわりにフンやコウモリの脂による黒い汚れが目立つようになるため、被害に気づく機会も増えます。


【コウモリ対策は軒下にあった!】のまとめ

  • 家に住み着くコウモリの多くはアブラコウモリ(イエコウモリ)で、軒下まわりのわずか1cm前後のすき間があれば侵入します。
  • 屋根裏と外壁のすき間(パラペット部)や通気口などの軒下まわりは、外敵が入りにくく、暗く静かなため、コウモリにとって格好のねぐらとなります。
  • 特に6〜7月の繁殖期には出入りが頻繁になり、フンやコウモリの黒い皮脂汚れが軒下や壁まわりに目立つようになり、被害に気づくきっかけにもなります。
  • もっとも効果的なコウモリ対策は、軒下まわりのすき間を徹底的に封鎖すること。
  • 通気口や屋根瓦、戸袋なども侵入口になりますが、これらも軒下と構造的につながっていることが多く、まとめて点検・対策することが大切です。

まずは「軒下」を起点に、家のすき間をしっかり見直すことが、コウモリ被害を防ぐ第一歩です。


コウモリはなぜ屋根裏や通気口に住み着くのか?

なぜコウモリは屋根裏や通気口、壁の中に住み着くのか

コウモリが住み着く理由とは?

理由:コウモリにとって屋根裏や通気口は、外敵が少なく安全で、夜間の出入りもしやすい“ねぐら”に最適な場所だから。

アブラコウモリが軒下まわりから侵入したあと、住み着くのは、屋根裏や通気口の奥など、暗く静かで人の気配が少ない空間です。

また、これらの場所は夜間すぐ飛び立てる構造上のメリットもあり、一度入り込むと、見えにくく追い出しづらいため、コウモリにとっては良い環境であり、長期間住み着いて糞尿やダニ・カビなどの衛生被害につながるリスクも高くなります。

さらに、6〜7月の繁殖期には子どもが生まれ、ねぐらの使用頻度が高まります。

この時期は巣立ち前のコウモリの子ども(幼獣)が増えるため、家屋内での滞在数も多くなり、糞尿の被害も顕著になる傾向があります。

アブラコウモリの鳴き声は聞こえるのか?

アブラコウモリは、飛行中には超音波(エコーロケーション)を発しており、これは通常、人の耳には聞こえません。

エコーロケーションとは:
コウモリが発する超音波が物体に当たって返ってくる「反響(エコー)」を頼りに、障害物や獲物の位置・距離を判断する能力のことです。

しかし、ねぐらの中では「キュッ」「キッ」といった短くかすかな音を出すことがあるとされています。これは鳴き声というよりも、母子間や集団内での接触時に発するコミュニケーション音と考えられます。

とくに6〜7月の繁殖期には、屋根裏などのねぐらに複数のコウモリの子どもがとどまり、壁の中や天井裏から「カサカサ」といった音が聞こえることもあります。これは、子どもの移動音や羽ばたきによる摩擦音である可能性が高いとされます。

なお、アブラコウモリとは異なり、ヒナコウモリやヤマコウモリはねぐら内で人の耳に聞こえる可聴音を発することが知られており、種類によって鳴き声の有無は異なります。


コウモリが侵入しているサインとは?

コウモリが軒下に残す侵入サインとは?

アブラコウモリは、軒下のすき間や換気口から侵入することが非常に多く、その出入口のまわりにはいくつかの特徴的なサインを残します。

以下のような「3つのサイン」がないか、軒下まわりを重点的に確認してみてください。

サイン 1:換気口や外壁、軒下のすき間に黒っぽい汚れが付着している

→ これは、アブラコウモリが出入りするときに、体から出る汚れがすき間にこすれて付くものです。そのため、周りに薄黒いこすれ跡が残っているのが目印になります

サイン 2:真下に乾いた黒いフンが落ちている

→ フンの大きさは5~10mmほどで、ネズミのフンによく似ていますが、もろくて指でつまむとすぐに崩れてしまうのが特徴です。こうしたフンが軒下や壁の下に毎日少しずつ落ちていたら、コウモリが住み着いているサインかもしれません。

サイン 3:夜間に「カサカサ」「キュッキュ」という微かな音が聞こえる

→ 軒下から入り込んだコウモリが、壁や天井裏で移動する際の物音です。とくに繁殖期(6〜7月)は、子どもの動きが増え、子ども同士が接触して発する短い鳴き声が聞こえる場合もあります。


軒下の「コウモリ対策」で押さえるべき3つの基本ポイント

軒下のコウモリ対策で大切な3つの基本ポイントとは?

住宅に侵入するコウモリは1cmのすき間があれば侵入できます。特に軒下まわりは気が付きにくく、侵入口になりやすい構造です。そのため、軒下の点検と対策はコウモリ対策の要といえます。

ここでは、対策の際に押さえるべき「3つの基本ポイント」を紹介します。

ポイント1:1cm以上のすき間を確実に塞ぐ

アブラコウモリは非常に小さな体で、わずかなすき間(1cmほど)からでも入り込むため、全てのすき間を丁寧に封鎖することが基本です。

ポイント2:再侵入させないようにする

コウモリが外に出たあと戻れないようにするには、メッシュやネットを上部だけ固定し、下部を垂らすように設置すると効果的です。内側からは押し出して出られますが、外からは戻れません。

※注意※ただし、6月下旬〜8月上旬の繁殖期には、飛べない子ども(幼獣)が内部に残ってしまう可能性があるため、この時期の閉鎖作業は避けましょう。

ポイント3:軒下まわりなど、劣化しやすい構造部分を重点的に点検する

軒下まわりには、屋根と外壁の境目にできる構造的なすき間があります。

その代表的なものが、パラペット部(屋根の縁の立ち上がり部分)や軒天(のきてん:屋根の裏側部分)です。これらは雨風や経年劣化でひび割れや浮きが生じやすく、コウモリの侵入口になりやすい場所です。

外側からの目視点検や、必要に応じたコーキング(すき間を埋める補修)などの補修を行うことで、侵入を未然に防ぐ効果が期待できます。

これらは比較的、個人でも試せるコウモリ対策法ですが、軒下や屋根まわりは高所で、危険を伴う場所も多いのが特徴です。また、専門業者はより高度で確実な方法で対策を行います。試してみて難しいと感じた場合は、当社をはじめ、専門の駆除業者への相談をおすすめします。


軒下のコウモリを放置するとどうなるの?

軒下に侵入したコウモリを放置するとどうなるの?

アブラコウモリのねぐらを放置してしまうと、衛生面や生活環境に深刻な悪影響を及ぼすおそれがあります。

  • 糞尿の蓄積による悪臭やカビ、ダニの発生
    • 天井裏などにたまったフンや尿が、湿気と結びつくことでカビが繁殖しやすくなり、またダニの温床にもなります。実際に神社の屋根裏では、悪臭やダニの発生が参拝者に問題となった例も報告されています。
  • 夜間の鳴き声や移動音による精神的なストレス
    • ねぐらの中では「キュッキュッ」「カサカサ」といった音を立てることがあり、とくに繁殖期には子どもが集団でとどまるため、物音が目立ちやすくなります。姿が見えないまま音だけが続く状況は、不安やストレスの原因にもなり不眠に悩まされることも。
  • 雑菌や吸血性のトコジラミの持ち込みリスク
    • 天井や壁の断熱材、柱に付着したフンや菌・寄生虫などから、人への二次的な被害が発生することもあります。コウモリに寄生しているトコジラミに刺された事例もあり、建物内で繁殖することで室内に持ち込まれるリスクが指摘されています。

➤ 糞尿の蓄積がもたらす菌や空気感染のリスクとは?
詳しくは「コウモリは本当に汚い?病気・空気感染・“コウモリ菌”に要注意」をご覧ください。


よくある質問

コウモリが軒下に来るのはなぜですか?
理由:軒下は、アブラコウモリにとって「ねぐら」に適したすき間だからです。
外敵から身を守りつつ安定した温度が保たれる、住宅の軒下まわりは格好のすみかとなります。家に住み着くアブラコウモリ(イエコウモリ)は、1cm程度のすき間があれば建物に侵入できる小型のコウモリで、住宅の軒下、戸袋、屋根裏、壁の裂け目などの人工的な閉鎖空間を好んでねぐらにします。
100均でできるコウモリ対策ってあるの?
100均のコウモリ対策:すき間の封鎖や光・においを利用した簡易対策があります。
たとえば以下のような100円ショップ商品が対策に使える可能性があります。
  • すき間用パテ・スポンジテープ → 軒下や戸袋などの小さなすき間を塞ぐ応急処置に。
  • ハッカ油スプレーや芳香剤 → アブラコウモリは刺激臭に弱く、ハーブ系の強い香り(ナフタリン含む)を嫌がるため、忌避剤の代用として。
  • アルミテープや反射材 → コウモリの視覚的忌避効果は明確ではありませんが、夜間の休息場所(ナイトルースト)防止に期待できます。

  • ただし、根本的な対策は専門的な封鎖工事や構造の点検が必要であり、100均対策はあくまで一時的・簡易的な方法です。
    軒下にコウモリを寄せ付けない方法とは?
    結論:すき間を塞ぐ物理的な対策がもっとも確実で効果的です。

    コウモリを寄せ付けないためには以下の対策が有効です。
  • 1cm以下のメッシュやネットで侵入口を封鎖する → アブラコウモリは1cmのすき間でも出入りできるため、それ以下の隙間を全て塞ぐことが重要です。上部だけ固定して垂らす形にすると、内側からは出られて外からは入れません。
  • ナフタリンやハーブ系の忌避剤を使う → 強いにおいを嫌うため、一時的な忌避には効果がありますが、恒久的な解決にはなりません。
  • 繁殖期(6月下旬〜8月上旬)を避けて対策を行う → 飛べない子どものコウモリ(幼獣)がいる時期に封鎖すると、閉じ込めによる死亡や悪臭、再発の原因になるため、この時期の施工は避けましょう。
  • まとめ

    • コウモリ(アブラコウモリ)は、軒下まわりの屋根と外壁のすき間(パラペット部や軒天)から侵入しやすい。
    • 軒下は暗く静かで、外敵からも守られるため、コウモリにとって昼間の「ねぐら」に最適。
    • 一度住み着くと、夜間に餌を捕りに出て、また戻る生活を繰り返す。
    • フンや尿が蓄積し、悪臭やカビ、ダニが発生しやすくなる。
    • コウモリは1cmほどの小さなすき間があれば入れるため、軒下の経年劣化やひび割れに注意が必要。
    • 軒下まわりのすき間を1cm以下のメッシュなどで封鎖すること。
    • 6〜8月は子ども(幼獣)が飛べずに残る時期なので、この時期の封鎖作業は避ける。
    • 軒下や屋根まわりは高所で危険も多いため、難しいと感じたら無理をせず、専門業者に相談するのがおすすめ。

    軒下や屋根裏にコウモリが住み着いてしまうと、糞尿による悪臭やカビ、ダニなどの衛生被害が続き、気付かないうちに被害が広がってしまうこともあります。

    コウモリは1cmほどのわずかなすき間からも侵入するため、個人での対策が難しく感じる場面も少なくありません。

    軒下まわりのコウモリ対策窓口

    当社では、住宅環境に合わせた適切な封鎖や駆除方法をご提案し、再発防止までサポートいたします。

    「自分でやってみたけど不安」「高所での作業が怖い」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。



    <参考文献>:熊谷 さとし、三笠 暁子、大沢 夕志、大沢 啓子、コウモリ観察ブック: ニッポン里山探検隊シリーズ、桜桃書房、2002、p.303、

    <参考文献>:津田良夫、安居院宣昭、谷川力、夏秋優、林利彦、平林公男、山内健生、衛生動物の事典、朝倉書店、2020、p.440、978-4-254-64048-9. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I030382005