菌やウイルス、ネズミがかじった跡が袋にある。3つの対策方法を紹介

こんにちは、プロープル広報のkikuです。

「米袋やパンの袋にネズミがかじった跡がある!」

菌やウイルスが気になるけど……
袋だけだから「かじられた部分だけ」捨てたら食べても大丈夫かな?

実は……かじった跡だけじゃない!?ネズミの菌やウイルスの危険性。

今日のテーマは、「ネズミがかじった跡の袋に菌やウイルスは存在するのか?」

さらに、ネズミの習性を理解した、かじらせない「なるほど3つの対策方法」や、ネズミが持つ菌やウイルス、そして感染する可能性のある病気についても解説しました。

ネズミにかじられた跡が気になったら、病原菌やウイルスの消毒もお任せください。

食べ物の袋にネズミがかじった跡が…

食パンの袋にネズミがかじった跡が…食べても大丈夫かな

ネズミにパンやお菓子の袋を少しかじられただけなら、中身は大丈夫だと思うかもしれませんが……

結論:怖いことに、大丈夫じゃないんです。

ネズミの唾液には『菌』が含まれています。口腔内に常在する菌として、ドブネズミは98%、クマネズミは58%の確率で『鼠咬症(そこうしょう)*1』の菌病原菌を保有しているといわれています。

一見中身に被害がないように見えても、(図2-1)のように複数箇所にかじられた跡がある場合、内部に侵入している可能性があります。

チョコレートや飴を袋ごと中身も食いちぎり、その場でフンもするので汚染されます。

ネズミは食べ物のニオイに敏感で、個包装されていてもお菓子などをかじり、食い荒らします。

その結果、食品の袋には唾液による汚染や菌の付着が考えられます。食器棚にしまっていても被害に遭います(図2-2)。

また、ネズミのフンが散乱している場合もあり、サルモネラ菌などの病原菌に注意が必要です。処分する際は直接触れないようにし、マスクを着用してください。処分後は必ず手洗いやうがいを行い、十分にご注意ください。

(*1)鼠咬症(そこうしょう)とは、ネズミに噛まれることで感染する病気で、原因となる細菌は唾液に存在するストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)や通常は粘膜や血液中に存在するスピリルム・マイナス(Spirillum minus)です。特に、ストレプトバチルス・モニリフォルミスを飲み込んで感染した場合は、ハーバーヒル熱と呼ばれます。症状としては,発熱、嘔吐、発疹、頭痛、関節痛などみられ、まれに意識障害や腎炎など重篤な病状も合併する場合がある。

<参考文献>:谷川 力、家ネズミ類の生態・被害と防除、環境と病気、2009、18巻、1‐2号、 p. 1-6、環境と病気学会、ISSN 13409476 (参照2024-1-18)https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010782349.pdf

<参考文献>:MSDマニュアル(鼠咬症)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/16-感染症/細菌感染症:スピロヘータ/鼠咬症


菌やウイルス!ネズミがかじった跡で汚染が広がる

見えない場所もネズミがかじった跡から唾液で汚染されています

ネズミの歯は伸び続けるため、常に歯を削るためにかじる習性があります。

そのため、家具や柱、硬いものがかじられ、ネズミの唾液によって菌が広がり汚染されます。

さらに、ネズミ自体も病原菌や汚物、寄生虫で汚染されているため、歩いた場所や、クマネズミが住み着いている一般住宅、スーパーマーケット、床下、天井、屋根裏、壁の中、荷物の裏なども被害を受けます。

ドブネズミは下水や庭に巣を作り、ハツカネズミは物置や食品保存場所、植木鉢など、いたるところにネズミは出没して、病原菌やウイルスを撒き散らし、汚染します。

ネズミには『とりあえずかじる』という習性があり、かじった跡に残る唾液から菌やウイルスが拡散し、ネズミ自体も病原菌などに汚染されているため衛生被害が広がる可能性があります。そのため、ネズミがいるかどうかを早めに確認することが重要です。


【感染経路】ネズミが持っている病原菌やウイルス

ネズミの怖いところは感染症やウイルスを人間やペットにも感染し病気にします

ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミなど、家に住み着くネズミは総称して家ネズミと呼ばれますが、その被害で最も怖いのは『人獣共通感染症*2』かもしれません。

その理由とは、ネズミが病原菌やウイルス、細菌、原因菌を運び、それが感染症など多くの病気を引き起こし、実際に感染が発生しているためです。

ネズミが持つ主な病原菌・ウイルスなどの一覧表

病名感染源感染経路
鼠咬症(そこうしょう)ネズミの唾液ネズミに咬まれたり、汚染された食べ物や飲み物の摂取
レプトスピラ症ネズミの尿尿→汚染された水が皮膚や傷口、口に入る
サルモネラ症ネズミの糞尿糞尿→汚染された食品を摂取
ペスト感染ネズミに寄生していたノミ感染したネズミ→ノミ→刺された
腎症候性出血熱(じんしょうこうせいしゅっけつねつ)ネズミの糞尿、血液、死骸感染源を吸ったり、口に入る
広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)ネズミのフン→ナメクジやカタツムリ生野菜に付着していたナメクジやカタツムリなどを誤飲

広東住血線虫の中間宿主であるナメクジやカタツムリは、ネズミのフンを食べたり、触れたりして感染します。ネズミが住み着いていると非常に危険ですので、ナメクジやカタツムリには素手で触らないようにしましょう。

(*2)人獣共通感染症とは、人間と動物の間で感染が広がる病気です。ペットや家畜、野生動物も感染源となることがあり、主に動物との接触や汚染された食べ物・水を通じて感染します。予防策を取ることが重要です。

<参考文献>:厚生労働省(動物由来感染症)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index.html

上記は一部の病原菌やウイルスなどに関する例ですが、ネズミはそれ以外にも多くの健康被害をもたらします。


ネズミから守る!かじらせない「なるほど3つの対策方法」

大きなビン容器にお米など穀物を入れればネズミにかじられなくなります

ネズミがかじるのには理由があります。

その理由とは、「歯を削るため」と「食べ物のため」です。

ネズミのかじる習性を理解したプロが解説する『3つの対処法』を紹介します。

ツルツルしたガラス容器で保管する

ネズミの歯は、前面がエナメル質、後面が象牙質で構成されており、物の硬さを示すモース硬度で表すと、ネズミの歯の硬度は5.5、人間の爪は2.5です。参考として、鉄の硬度は4、ガラスは5となっていますが、ネズミがかじる対象は硬度3.5以下のものが多いです。

また、ネズミはかじる際、上の歯で物を抑え、下の歯で削るようにかじります。

コンクリートなどは強度がありそうですが、でこぼこと劣化して、ひび割れなどに歯を引っ掛けられてかじられてしまいます。そのため、ツルツルした曲面のガラス容器を使用し、しっかり蓋をすることで、かじられる被害を防ぎやすくなります。

冷蔵庫にいれる

ネズミの嗅覚は、犬と同じように食べ物を探すことに優れているといわれています。

ニオイが漏れないようにするために、冷蔵庫での保存をおすすめします。

ネズミは食べ物を脂肪として蓄えられないため、食べ物への執着が強く、仏間のお供え物やペットフード、切り餅、パンなど、未開封の袋であっても、わずかなニオイを感じ取ると室内に侵入し、食べ物をかじって荒らします。

意外にも被害に遭いやすいカップラーメンやインスタント袋麺などは、結露によって品質が低下する恐れがあるため、冷蔵庫ではなく、金属製のケースでの保存をおすすめします。

最近では、災害に備えて保存食を常備する人が増えていますが、特に長期間保管される食料には注意が必要です。保存食や荷物が長く保管されていると、ネズミが隠れやすく、いつの間にかかじられて菌やウイルスに汚染される可能性があります。気づかないうちにネズミに巣を作られ、被害が広がることも少なくありません。

忌避剤の効果で「かじらせない!」

忌避剤として、味覚忌避(みかくきひ)を狙った、ネズミが苦手な唐辛子(カプサイシン)成分を配合した防鼠(ぼうそ)テープや、忌避スプレーを、袋や配線ケーブル、配管など、被害に遭いやすい箇所に吹きかけたり巻き付けたりして、部分的な忌避効果が期待できます。*食品の袋には匂いがうつるため適していません。

また、嗅覚忌避(きゅうかくきひ)を利用した置き型タイプや袋タイプ、スプレータイプ(ミント、ハッカなど天然ハーブ系)などの忌避剤もあり、ネズミが嫌がる匂いで空間を守る方法があります。この方法は、ネズミにかじられた跡がある箇所だけでなく、その場所に近づけさせない空間忌避剤としての使い方に適しています。

ただし、忌避剤の効果は時間とともに薄れていくため、ネズミの被害レベルにより効果が期待できない場合があります。

<参考文献>:矢部 辰男、これだけは知っておきたい日本の家ねずみ問題、地人書館、2008、p.169、


よくある質問

ネズミがかじった跡に菌は存在しますか?
ネズミがかじった跡には菌が存在する可能性があります。ネズミは病原菌やウイルスを運びますので、かじられた跡がある食品や米袋、パンの袋、菓子袋、インスタント袋麺、カップラーメンなどは破棄してください。その他の物にもネズミにかじられた跡があればすぐに廃棄し、清掃と消毒を行いましょう。
ネズミにかじられた後はどうしたらいいですか?
幼児やご年配の方がネズミにかじられることが多く、かじられた場合は、まず傷口を流水で十分に洗浄し、消毒してください。その後、病原菌やウイルス、感染症(鼠咬症、レプトスピラ症、腎症候性出血熱など)のリスクがあるため、必ず医療機関を受診してください。また、再発を防ぐために、ネズミの侵入経路を確認して封鎖し、必要に応じて駆除を行うことを推奨します。
米や米袋をネズミから守る方法はありますか?
米や米袋をネズミから守るためには、まずガラス製や金属製の密閉容器に入れて保管することが重要です。米袋のままだとネズミにかじられる恐れがあるため、容器を使ってしっかり保護しましょう。また、長期保存には、冷蔵庫や専用の保冷庫を使用することで、湿気や害虫からも防げます。さらに、忌避剤を使ったり、怪しい隙間を塞ぎ、ネズミの侵入経路を防ぎます。最後に、保管場所を定期的に点検し、ネズミの痕跡がないか確認することが大切です。

まとめ

  • 中身が無事でも、袋にネズミがかじった跡があったら食べたらダメ
  • ネズミがかじった跡から唾液により菌の汚染が広がります
  • ネズミがかじった跡だけじゃない!ネズミ自体も菌やウイルスに汚染されてる
  • どのように感染する?ネズミからうつる病気、病原菌やウイルスの感染経路
  • ネズミから守る!習性を理解してかじらせない「なるほど3つの対策方法」とは
  • 1:ガラス瓶で保存
  • 2:冷蔵庫にいれる
  • 3:忌避剤効果でかじらせない

保存食を長期間棚の奥にしまっておくと、死角になり、気づかないうちにネズミにかじられていた!というご相談をよく受けます。

ネズミは、かじった跡を通じて病原菌やウイルスなどの感染症を運ぶ可能性があります。

ネズミ被害への早期対策が重要で、対策を早く行うほど費用も抑えられます。まずはお気軽にご相談ください。現地見積もりは無料で承っております。