こんにちは、プロープル広報のkikuです。
毒の牙を持つムカデ「もしもムカデに噛まれたら、放置しても大丈夫なのでしょうか?」
就寝中にムカデに噛まれると、その瞬間は激しい痛みを感じます。
とはいえ「時間が経って痛みが収まるなら、病院に行くのは面倒だし、大げさにもしたくない」と考えてしまいますよね。しかし、そのまま放置して症状が悪化したらと思うと、とても怖いです……。
そこで、「ムカデに噛まれたら放置しても大丈夫なのか?」という疑問と、「ムカデの毒の成分」と「凶暴な種類」について詳しく解説。
ムカデに噛まれたら放置しても大丈夫?
ムカデに噛まれることを「咬傷(こうしょう)」と呼び、牙で咬むことを指します。
毒を持つムカデに噛まれた(咬まれた)場合、放置しても大丈夫なのでしょうか。
結論:状況により危険な場合があります。
その状況とは、過去にムカデに噛まれた経験がある方や、ムカデの種類によっては特に注意が必要です。
毒性のあるムカデはアレルギー反応を引き起こす物質を含んでおり、2回目以降では免疫系が過剰に反応して『アナフィラキシーショック*1』を引き起こす危険性があります。
また、個人差はありますが、噛まれた直後に痛みが収まっても、翌日以降に強い症状が現れることがあります。
呼吸困難や血圧低下、気分不良などの重篤な症状が出ると、通院するのも困難になるため、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診することが重要です。
(*1)アナフィラキシーショックとは、
特定のアレルゲン(アレルギー物質)に対する免疫系の急激かつ過剰な反応により発生するアレルギー反応です。血管拡張、血圧低下、気道閉塞など命に関わる症状を引き起こすことがあります。
毒液が皮膚につくことで被害が広がる可能性もあるため、噛まれた際はすぐにシャワーで洗い流して被害を最小限に抑えることがポイントです。
ムカデの毒の成分
ムカデといえば、大きな毒牙から注入される毒液が思い浮かびますが、その毒成分にはどのようなものが含まれ、人体にどのような影響を与えるのでしょうか?
結論:ムカデの毒にはヒスタミンが含まれており、これが炎症、痛み、かゆみを引き起こす中心的な役割を担っています。
また、研究ではヒスタミンを含め、以下の成分も含まれることが報告されています。
ムカデの毒の成分と人体に与える影響
- ヒスタミン
- アレルギー反応を引き起こし、炎症やかゆみの原因となります。
- 溶血素(ヘモリジン)
- 赤血球の破壊に関与し、局所の腫れや痛みの原因となる。
- ヒアルロニダーゼ
- 組織を分解し、毒成分の拡散を促進する。
- セロトニン
- 神経系に作用し、痛みや炎症の増強に関わる。
- 蛋白分解酵素
- タンパク質の分解を通じて組織へのダメージを与える。
では、ムカデの毒の成分がどのように人体に影響を与えるかを理解した上で、その他に毒を保有しているムカデに噛まれた場合に注意すべき点とは何でしょうか。
過去に蜂に刺された経験がある場合
注意点として、過去に蜂に刺された経験がある人は、蜂の毒の成分がムカデの毒の成分(ヒスタミンやヒアルロニダーゼなど)と類似しているため、免疫系が『交差反応*2』を起こす可能性があることが挙げられます。
(*2)交差反応とは、
特定のアレルゲンに対する抗体が、類似する別のアレルゲンにも反応してしまう現象を指します。たとえば、過去に蜂に刺された経験があり、蜂の毒に対するアレルギーを持つ人がムカデの毒にも過剰に反応し、以下のような重篤な症状を引き起こす可能性があります。
- 呼吸困難
- 血圧低下
- 強い腫れや痛み
このような症状が見られた場合は、放置しないで速やかに医療機関を受診することが重要です。
ムカデは凶暴だから噛むの?その種類とは
ムカデは「凶暴」や「獰猛」といった恐ろしい毒虫のイメージ持たれますが、ヒトへはむやみに攻撃することはなく、刺激をしなければ襲ってはきません。
ですが、防御行動として毒牙(顎肢:がくし)で噛みつくことがあり、その毒牙の被害と外見の存在感が「凶暴」で「獰猛」なイメージへと繋がるのではないでしょうか。
なぜムカデは噛むの?
多くの虫が防衛手段として逃避や擬態、匂いを放つなどの方法で身を守ります。ムカデの防衛手段は主に逃走と毒牙による自己防衛です。
そのため、毒牙で噛みます。
侵入被害の多くは、本州最大のムカデ「トビズムカデ」でによる被害です。このムカデは刺激を受けると逃避よりも反射的に毒牙で攻撃することがあり、この行動が「向かってくる」「攻撃的」という印象を強めています。
ムカデは視力が弱く、捕食対象ではないヒトを意図的に襲うことはありません。ただし、縄張り意識が強く、偶然触れたり刺激を受けると自己防衛で毒牙で噛むことが多くあります。
この毒牙は歩行脚が進化した器官で、毒液を注入する構造を持ち、強力な防衛手段となっています。
ムカデは刺激しなければ危険はありませんが、防衛行動として反撃することがあります。そのため、見かけた場合は近づかず、接触を避けることが予防策となります。
凶暴な?ムカデの種類
家の中で噛まれる被害の多くは「トビズムカデ」によるものですが、「アオズムカデ」による被害も報告されています。これらはいずれもオオムカデ目に属しており、トビズムカデにはアオズムカデに似た色の個体もいるため、見分けるのが難しい場合があります。
稀にセスジアカムカデが住宅に侵入し、噛まれる被害に遭うこともあります。しかし、このムカデは毒性が弱く痛みが少ないとされており、個人差はありますが、このムカデに噛まれたら放置する方少なくありません。
ムカデが家に出た!関東の毒ムカデといえばトビズムカデです。その他の毒ムカデもプロが詳しくイラストで紹介しました。
また、一部で「アカズムカデが日本に生息している」という情報がありますが、これはトビズムカデの赤い脚を持つ個体を見間違えた可能性が高く、現在のところ、正確な記録として日本にアカズムカデが生息している可能性は低いと考えられます。
よくある質問
- ムカデに刺されたらアナフィラキシーは何時間後なの?
- ムカデの毒によるアナフィラキシー反応は、咬まれた後、数分から数時間以内(通常30分以内)に発症するのが一般的です。主な症状としては、呼吸困難や血圧低下などが挙げられます。一方、翌日以降に現れる症状は遅延型アレルギー反応であり、アナフィラキシーとは異なる反応です。また、正確にはムカデは刺すではなく、顎肢(がくし)による毒牙で咬むと表現します。
- 小さいムカデに噛まれたらどうなるの?
- 【毒を持つ小さいムカデの場合】
小さいムカデでも毒を持つ種類(トビズムカデ、アオズムカデなどの赤ちゃん)であれば、咬傷により痛みや腫れが生じる可能性があります。ただし、毒液の量が少ないため、症状は比較すると軽い傾向にあります。
【毒を持たない小さいムカデの場合】
毒を持たないムカデであれば、皮膚に物理的な傷ができる程度で、毒による症状は発生しません。 - ムカデに刺されたら何日で治るの?
- ムカデは脚が変形した顎肢(がくし)と呼ばれる毒牙で咬みます。咬傷(こうしょう)後の治り方は、適切な治療を受けたかどうかで大きく異なります。
【医療機関を受診した場合】
適切な治療を受けることで、軽症であれば翌日には痛みや腫れが軽快し、数日以内に完治します。
【放置した場合】
症状が軽い場合でも、完全に治るまでに1週間程度かかることがあります。ただし、ムカデの毒によるアレルギー反応で炎症が悪化したり、二次感染を引き起こすリスクがあるため、放置は推奨しません。
まとめ
- 過去に蜂に刺されたことがある場合は、ムカデに噛まれたら放置しない。
- ムカデの毒の成分はヒスタミンがアレルギー反応をもたらし痒みや炎症の原因です。その他にも多くの有毒な成分の報告があります。
- ムカデは凶暴だから噛むのではなく自己防衛で反射的に噛んでしまう。ですが、毒の成分は凶暴ともいえます。
- 家屋への侵入被害の多くは「トビズムカデ」、本州最大サイズの毒を持っているムカデである。
ムカデが積極的にヒトを襲うことはないですが、偶発的に毒牙に咬まれたらその毒性で深刻な健康被害の可能性もあります。思った以上に素早く逃げますので無理に近づかないでください。
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監修:引田 徹【クリーン計画プロープル株式会社:施工部長】
取材担当:フジテレビ「ライブニュースイット」|BS-TBS「噂の!東京マガジン」|テレビ朝日「スーパーJチャンネル」|日本テレビ「news every.」|テレビ朝日「報道ステーション」|フジテレビ「めざまし8」|テレビ朝日「グッド!モーニング」|テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」|日本テレビ「DayDay.」|TBSテレビ「THE TIME,」|そのほか多数メディア出演対応(順不同)
資格:(公社)日本ペストコントロール協会|(公社)神奈川県ぺストコントロール協会|(一社)日本有害生物対策協会|日本ペストロジー学会|(公財)文化財虫菌害研究所|しろあり防除施工士|建築物ねずみ昆虫等防除業登録|(一社)日本鳥獣被害対策協会|セントリコン・テクニカル・マスターなどその他にも多数の資格を保有
<参考文献>:原田 晋, 吉崎 仁胤, 夏秋 優, 清水 秀樹, 福田 均, 永井 宏, 池田 哲哉, ムカデアレルギーの3例 : ハチアレルギーとの交叉性に関する検討を含めて, アレルギー, 2005, 54 巻, 11 号, p. 1279-1284, 公開日 2017/02/10, Online ISSN 1347-7935, Print ISSN 0021-4884,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/54/11/54_KJ00003988638/_pdf/-char/ja
<参考文献>:環境庁自然保護局野生生物課 、日本産野生生物目録:本邦産野生動植物の種の現状(無脊椎動物編 I)、自然環境研究センター、1993、p.106、
<参考文献>:高桑 良興、日本動物分類 第九巻 第八編 第二號 脣足綱 整形類 オホムカデ目、三省堂、1940、p.88、